釣りも大好きだけど音楽も大好きなチープです。Follow @tsurito___
ここ最近元オアシスのリアム・ギャラガーのドキュメンタリー映画のトレイラー映像が公開され、ダニー・ボイル監督のビートルズ関連の映画の日本公開も決まり、ザ・スミスのモリッシーの映画の予告動画も出てと、音楽映画で楽しみな話題が多く一人で盛り上がっています。
さらに…アラン・マッギー(クリエイション・レコーズ創設者)の自伝映画に、こちらにもダニー・ボイルが参加することが決まって、アラン・マッギーを演じるのは「トレインスポッティング」のスパッド役の人でこれはもうピッタリだろうと…。。。
しかもアラン・マッギー曰く「”トレインスポッティング”がクリエイションを手がけるようなものだ」とか言ってて…
で…そんなクリエイション・レコーズといえば、オアシスやマイ・ブラッディ・ヴァレンタイン、ライド、プライマル・スクリームといった、90’sUKインディーミュージック界の顔と言えるバンド達が所属していた伝説的レーベル。
上記したバンド達のように、”音楽シーンを動かした”や”ロック史に残る名盤”なんてものはなくても、クリエイション・レコーズには他にもたくさん大好きなバンドが所属していました。
その中の一つのパステルズ(The Pastels)。
久しぶりに聞いたら、耳から離れなくずっとリピート再生されてしまっているので、久しぶりに音楽の紹介をしていきます。
こんな方におすすめ
- 90年代のインディーロックが好きな方
- ギターポップ、ネオアコ、渋谷系などにピンと来る方
- フリッパーズ・ギターや初期スーパーカーなんかも好きな方
- 音楽は技術よりもセンスでしょ?な方
ヘロヘロだけどそれがいい!なパステルズ
切っても切れない関係のパステルズとグラスゴー
パステルズの事を説明する時にセットとなるのが、彼らの街グラスゴー(スコットランド)について。
”音楽都市”と呼ばれるほどグラスゴーと音楽の関係は深く、良質なミュージシャンを数多く排出しており、ティーンエイジファンクラブ、ジーザス&メリーチェイン、ベル&セバスチャン、プライマル・スクリーム、トラヴィス。
最近だとフランツ・フェルディナンド、フラテリスなど。
とにかく良質なバンドが多く、正直グラスゴー出身というだけでついつい試聴してしまうのは自分だけではないはずです。
そんなグラスゴーの音楽シーンにとって大きな存在がノーマン・ブレイク(ティーンエイジファンクラブ)と今回紹介するパステルズのスティーヴン・パステル。
2人を中心としたグラスゴーのミュージシャン同士の横の繋がりが強く、他のバンドの作品へゲスト出演することも多々あります。
特にスティーヴンのグラスゴーへの思い入れは強く、ロンドンからではなくグラスゴーから音楽発信をすることに拘っており、グラスゴーでレコード屋をやりながらアーティストとして活動しているのは有名な話。
そういうアマチュア感もまた魅力の一つです。
唯一無二のパステルズ音楽性
パステルズの中心メンバーのスティーヴンとカトリーヌ。
彼らの音楽には、音楽シーンでよく評価の基準になるような、歌唱力の高さ、演奏の技術、ルックスの良さ、アイドル性やカリスマ性などの求心力など…これらが全くありません。
”ヘロヘロしたギターポップ”でとにかく歌も演奏も上手とは言えず、1982年の結成からほとんど上達はなし。
見た目もグラスゴーにいる(今は)普通のおじさんとおばさん。
じゃなにがいいのよ?という話になりますが、それは”空気感”や”雰囲気”などというけっこうざっくりしたもの。
もちろんメロディーセンスもありますが、それよりも独特の緩さを魅力的に聴かせるバランス感覚のセンスがすごい独特のバンドです。
曽我部恵一さんがカジヒデキさんとの対談で…
「“Baby Honey”っていう好きな曲があるんですけど、それもよくわかんない、どこがいいのか(笑)」
出典:パステルズ 「スロウサミット」発売記念 曽我部恵一×カジヒデキ、パステルズ対談 | INTERVIEW | felicity (フェリシティ)
と言っているように、センスだけでいい曲にしてしまっています。
その音楽の緩さ以上に、彼らのミュージシャンとしての活動ペースも非常に緩く、81年の結成からリリースされたオリジナルアルバムは全部でわずか5枚。
現在最後にリリースされている「Slow Summits」(2013年)は、前作「Illumination」(1997年)からなんと16年ぶりのリリースというから驚きです。
初期のベスト盤的内容の「A Truckload of Trouble: 1986-1993」
「A Truckload of Trouble: 1986-1993」という、86-93年までのシングル・未発表曲などを収録したコンピレーションアルバムですが、最近ではこればっかり聞いています。
春っぽい雰囲気の(彼らにとっては)最新作の「Slow Summits」もいいですが、今は「A Truckload of Trouble: 1986-1993」の気分。
最近の彼らのアルバムのように音響系寄りの奥行きのある音ではなく、ジャガジャガしたギターにねっとりしたスティーヴンのヴォーカルが絡むインディー感満載の音。
アメリカではニルヴァーナ、UKではティーンエイジファンクラブとグラスゴー周辺の音楽が最も盛り上がっていた時期にリリースされたパステルズの作品なので、そのへんの音が好きな方は聴いておきたい一枚。
メロウな2曲目「Thru' Your Heart」
哀愁漂う9曲目「Nothing to Be Done」
完全にツボな10曲目「Different Drum」
曽我部恵一さんも好きなパステルズの代表曲の12曲目「Baby Honey 」
と全体的に良曲揃い。
パステルズ入門には直近の2枚が最適ですが、ネオアコ、ギターポップ、クリエイション・レコーズ周辺の音が好きな方にはオススメです。
初期作品のパステルズも良作揃い
今までもパステルズの音楽が大ヒットすることはなかったし、おそらく今後もそれはないだろうと思います。
本人達もそういうのを意識せずに作っているし、むしろ音楽のメインストリームとは距離をとっている感じ。
パステルズがそういう姿勢だからか、それとも風土がそうさせるのか、グラスゴーのアーティストはそういう気質の人が多く出てきています。
そのおかげか、グラスゴーミュージックは長い間支持され、一部の音楽ファン達を魅了し続けています。
パステルズについては、曽我部恵一さんとカジヒデキさんの対談でもっと深く紹介されていますのでこちらもあわせてどうぞ。