今回はたまに出てくる音楽の話。
当ブログ屈指の不人気カテゴリーで釣りとは全く関係ありませーん。
さていよいよ明日の16日(金曜)に21年振りの新作「Weather Diaries」を発表するRide。
リリースの第一報を聞いた時に思わず歓喜したファンも多いのではないでしょうか?
さて今回はそんなRideの記念すべき1stアルバムにしてシューゲイザーの金字塔「Nowhere」を紹介していきます。
Rideとはどんなバンド?
シューゲイザーという音楽のムーブメントを代表するバンド
まずシューゲイザーとは80年台後半のイギリスで芽生え、90年台初期に全盛期そしてすぐに終焉を迎えた音楽のジャンルの一つ。
音楽的な特徴は、ポップで甘いメロディーをベースに轟音のギターが鳴り響かせ、さらにふわふわとした浮遊感のある音で、ボーカルは歌詞がはっきり聞き取れないような囁くような声で歌うというのが大体のシューゲイザーバンドの特徴。
このような音楽性を持ったバンドが一斉に現れ、一つのムーブメントとなった。
「代表的なバンドは?」と聞かれれば殆どの人が「My Bloody Valentine」か「Ride」の名前を上げることになると思います。
それくらいこの2つのバンドの作品の功績が大きく、90年発表のRideの1stアルバム「Nowhere」でシューゲイザーというジャンルが確立され、My Bloody Valentineの91年発表の2ndアルバム「Loveless」でシューゲイザーが完成されてしまったくらい。
この2つの作品が巨大過ぎて、それ以降に発売されたシューゲイザーに分類されるであろう音楽作品でいまだにこれらを超えるものはないと言われている…というか殆どの作品がこの2つの影響下にある作品になってしまっている。
(シューゲイザーについての良記事。詳しく知りたい人は参考に。)
Rideの音楽性と遍歴
今回はその2つのバンドのうちのRideについて。
なぜなら最初にも書いたように新作が21年振りに発表されるから!
Rideを特徴づけるのは歪む轟音のツインギターと透明感あるツインボーカルが乗る美しいメロディー。さらに若さ特有の衝動性が合わさったサウンド…なんていうとそれっぽくなりますが音を言葉で表すって難しいですね。
ありきたりの紹介にしかならないのでとりあえず聞いてみましょう。
まさにこの曲こそRide!!といった感じ。
この曲の入った「Play EP」(通称:黃ライド)とその前に発表されたデビューEPの「Ride EP」(通称:赤ライド)で、遠い島国の日本でまで注目を浴びるくらいに人気になり、その後もう一枚EPを出した後についにデビューアルバムの「Nowhere」をリリースします。
これでUKのインディーロック界で確固たる地位を確立し、さらに92年発表の2作目「Going Blank Again」では音楽的により完成された作品となり、商業的にも成功。
しかし、その後OasisやBlurに代表される新たなムーブメント”ブリットポップ”が一気にUK音楽シーンを覆っていき、シューゲイザーは下火になります。
その中で出された94年発表の3作目「Carnival of Light」はそんなブリットポップ寄り…というかもともと彼らの趣向の音楽に沿った作品となりましたが周りが期待していたものとは違い商業的に失敗。(良作なんですけどね…)
さらにメンバー間の関係も悪化し、96年の4作目「Tarantula」のリリース直前に解散。
というのがRideのデビューからの流れなのですが、正直ブリットポップ全盛期にそれまでと同じようなシューゲイザーなサウンドの作品を出していても結果は同じだったと思うのでこれがベストでは無いですが、しょうがない答えだったのかと思います。
やっぱり大きなムーブメントの先導者のそれ以後は厳しい…あのThe Stone RosesもそうだったしMy Bloody Valentineも普通に作品発表を続けていたら今のように神格化されていなかったのではないでしょうか?
2000年台幕開けと共に出現したガレージロック・リバイバルバンドもあれだけいたのに、今はどれだけ残っているのか…。
その辺Primal Scream(マッドチェスター)やRadiohead(ブリットポップ)、Arctic Monkeys(ガレージリバイバル)なんかはそれぞれのムーブメントの後に音楽性を昇華させ、さらに先へ行くことに成功しているように感じます。
シューゲイザーシーンを決定づけた「Nowhere」
そんなRideのデビューアルバム「Nowhere」はシューゲイザーを語る上で絶対に外すことができない作品。
全編で轟音ギターの洪水で埋め尽くされてはいるがメロディーは美しく、気だるくも清涼感のある歌声が絡んでいきます。
アルバムの全てがこの1曲に詰め込まれているのではないかと思う「Dreams Burn Down」。
こんなに綺麗で幻想的な始まりから、急に頭の中をガツン!と揺さぶるような轟音ギターが入ってきますが非常に美しい曲です。
次は代表曲の「Vapour Trail」。
メランコリックなメロディーと後ろのキラキラとしたギターの音に段々とバイオリン?の音が乗っていき感情が徐々に締め付けられていきます。儚い…。
音楽の完成度でいうと2ndアルバムの方が上ですが、ロックの大切な要素となる衝動性というか勢いや触ると壊れそうな脆さという部分が抜き出ており、それがロックアルバムとしての完成度を何段階も上げている作品です。
この辺りはMy Bloody Valentineの「Loveless」には無い部分で初期のRideの魅力です。
この作品はこんな人におすすめ!
・Radioheadの「Creep」が好き。特にガガッ!ガガッ!のギターの部分が好きな。
・Coldplayは最近の感じでなく初期の正統派UKインディーロックの感じが好きな人。
・Oasisファンの人。(Oasis後期のベースはRideのギター&ヴォーカルのアンディ・ベル)
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まとめ
Ride(と他のシューゲイザーバンド)は全盛期の期間は短いながらも、残した影響は大きくRadioheadやColdplayらはもろにその影響下にあると思います。
さらに2000年代以降に明らかにシューゲイザーの影響を受けた音を鳴らすバンドが多く現れ、そんな彼らの音を「ニューゲイザー」と呼び、その影響元である90年代初期のバンドが再評価されていたり。
日本でもスピッツの草野マサムネさんはRideからの影響を公言するくらいに好きなようですね。
そんな彼らの新作が明日21年振りに発表されるので要チェックですね!
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